ひらがなの「し」をきれいに書くコツは、マスの真ん中あたりまでまっすぐ下ろすことと、底のカーブを角をつくらずゆったり丸めて、右斜め上へすくい上げることの2点です。「し」は1画で書く文字なので、まっすぐ下ろす長さ・曲がり始める位置・最後のすくい上げる角度が整えば、全体の形が決まります。
「し」は、シンプルだからこそ、「Jのようになる」「つのように横に広がる」と悩むお子様が少なくありません。この記事では、書き方、崩れる原因と直し方、お家でできる声かけをまとめました。
「し」の書き方:1画の中の4つの動き
「し」は1画ですが、1本の線の中に4つの動きが入っています。動きを分けて考えると、書きやすくなります。
| 動き | 書き方 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 書き始め | マスの左上のあたりからスタートする | 最初の位置が決まると、全体が安定する |
| ② まっすぐ下ろす | すぐ曲がらず、マスの真ん中あたりまで「すーっ」と下ろす | この直進が、きれいな縦線のもとになる |
| ③ 底のカーブ | カクッと折れず、やわらかく円を描くように曲げる | 真上ではなく、右斜め上へ向かう |
| ④ 止め | マスの右側の真ん中あたりで、そっと止める | 広げすぎると「つ」の形になる |
1画の文字は、途中で動きを切り替えるタイミングが目に見えにくいのが特徴です。「ここまでまっすぐ」「ここからくるん」という合図を決めておくと、お子様も迷いにくくなります。
「し」が崩れる3つの原因と直し方
崩れ方は3パターンに分けられます。症状から原因を探すと、声かけも具体的になります。
| こんな症状 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| アルファベットの「J」のように、真上に曲がる | カーブの向きが真上になっている | 「右斜め上に、すくい上げるよ」と伝える |
| 底が角ばって、カクッと折れる | 曲がる位置で、勢いよく向きを変えている | 「円を描くように、ゆったり」と伝える |
| 右に広がって、「つ」のように見える | 最後に右へ進みすぎている | 「右側の真ん中あたりで、そっと止める」と伝える |
いちばん多いのは「Jのように真上に曲がる」タイプです。止める位置を直す前に、カーブの向きを見直すと、形が整いやすくなります。
「すくい上げ」とは、スプーンでスープの底をすくうような、やわらかい動きのことです。底を回ってから、斜め上へ軽く持ち上げるイメージです。
「つ」と間違えやすいときの見分け方
「し」と「つ」は形が近く、書いているうちに混ざるお子様がいます。見分けるポイントはスタート位置と進む向きです。「し」は上から下へ書いて、右へ進む文字、「つ」は横に書いて、下へ丸める文字です。
「つ」の詳しい書き方は、別の記事で解説しています。
「し」が書けると、「も」の1画目も整いやすい
「も」の1画目は、「し」のようなカーブを書く文字です。「し」で身につけた「まっすぐ下ろしてから、やさしく丸める」動きは、そのままほかの文字のカーブを整える力にもなります。
「も」の書き方は、別の記事で解説しています。
プリントで「し」が書きやすくなる3つの工夫
つまずきやすいポイントを先回りして支えるために、カラーガイド・十字の補助線・言葉のリストを取り入れています。
1. カラーガイドで、書き始めの位置がひと目でわかる
書き始めの位置がカラーで示されているので、どこからスタートするか迷いません。「ここからだよ」と指で示せるので、最初の位置が安定します。
2. 十字の補助線で、「まっすぐ」と「曲がる位置」がわかる
マスの十字の点線は、道路のセンターラインのような目印です。「真ん中の線のあたりまで、まっすぐ」と、曲がり始める位置を目で確認しながら書けます。
3. 「し」のつく言葉を声に出して読む
プリントの下部には、「し」から始まる言葉が載っています。書く前に一緒に声に出して読むと、言葉の引き出しが増え、文字を「記号」ではなく「言葉の一部」として覚えられます。
お家でできる「魔法の声かけ」
声かけは、「どこがよかったか」を具体的に伝えるのがコツです。
| 場面 | おすすめの声かけ・やり方 | ねらい |
|---|---|---|
| 鉛筆を持つ前 | 見本を指でなぞりながら「すー(直進)、くるん(カーブ)、ピタッ(止める)」と声に出す(空書き) | 1画の中の動きの切り替えを、擬音で覚える |
| カーブを書くとき | 「スプーンですくうみたいに、右斜め上へ」 | Jのような真上への曲がりを防ぐ |
| 書き終わったとき | 「まっすぐ下ろせて、最後もそっと止まれたね!」 | 直進と止めの成功体験を具体的にほめる |
直したい点があっても、まず「すーっとまっすぐ書けたね」とよくできた1か所をほめてから、直す点は1つだけ伝えるのがおすすめです。
先回りして知っておきたい注意点
「簡単な文字」と思わせない
1画の文字なので、大人は簡単に見えますが、まっすぐ下ろす力と、カーブを描く筆圧のコントロールを同時に使うため、お子様には意外と難しい動きです。「簡単なのにできない」と感じさせないよう、4つの動きを分けて伝えましょう。
学校で習う書き方を優先する
ひらがなの細かい字形や、書き終わりの扱い(止めるか、はらうか)は、学校や教科書によって教え方が少し違う場合があります。入学が近いお子様は、学校で習う形があればそちらに合わせると混乱しません。
最初は崩れても大丈夫
線が曲がったり、カーブが角ばったりしても、手の力が育っている途中なので自然なことです。「まっすぐ下ろせたね」と取り組みをほめるほうが、細かい形の調整より上達につながります。
よくある質問
Q. 「J」のように真上に曲がってしまいます。
鉛筆を使う前に、指で空中に大きく「し」を書く練習がおすすめです。「右斜め上へ、すくい上げる」動きを体で覚えてからなぞり書きに進むと、カーブの向きがつかみやすくなります。
Q. 縦線がまっすぐになりません。
プリントの十字の補助線を目印に、「真ん中の線のあたりまで、まっすぐ」と指で示してから書いてみてください。「まっすぐ」の長さを線で覚えられるので、曲がり始めが安定します。
Q. 「し」が書けたら、次は何を練習すればいいですか?
五十音順に、次は「す」に進むのがおすすめです。「す」は中心線の通し方と、ループの形がポイントです。
まとめ:「まっすぐな直進」と「ゆったりしたすくい上げ」で「し」は整う
「し」を整えるコツは、マスの真ん中あたりまでまっすぐ下ろすことと、底のカーブを角をつくらず、右斜め上へすくい上げることです。カラーガイドと十字の補助線を使えば、「まっすぐ書けた」「最後にそっと止まれた」という成功体験を積み重ねられます。
シンプルな1画の「し」だからこそ、まっすぐ下ろす力と、カーブを描く筆圧のコントロールが育ちます。まずは無料のプリントで、一緒に練習してみてください。

