
【絵本】ひ
内容説明
むかしむかし、まだ空を飛ぶのが鳥だけで、地上には家なんて存在しなかった頃のこと。ある日、熊が川で魚を捕まえようとしたところ、それは見たこともない不思議な生き物でした。その生き物が空に向かって手を広げると、まばゆい光があたりに広がり始めたのです。
これは「ひ」をめぐる壮大で幻想的な物語。その光は何を意味しているのか、そしてどんな変化をもたらすのか。読み進める中で、自然と人間の原初的なつながりが感じられるでしょう。
作者自身も「ひ」との出会いを「最初の記憶」として語ります。まだ「火」というものを知らなかった頃、美しく燃え上がるその存在に触れ、やけどを負い、そして記憶が新たに形作られていった……。その瞬間が、自らの人間としての始まりだったと。
これは、記憶の奥底にある遠い物語。読む人の心に響く、深いメッセージを届けてくれる一冊です。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、人類が「火」と出会う瞬間を描いた幻想的な物語であり、知育や教材として非常に有用です。子どもたちに自然や人間の歴史に対する興味を引き出すきっかけとなるほか、物語を通して「火」の重要性や危険性についても学ぶことができます。例えば、「火がもたらした変化は何だったのか?」という問いかけを通じて、人類の進化や生活の成り立ちについて考える時間を作ることができるでしょう。
また、この絵本は子どもの想像力を豊かにする教材としても役立ちます。不思議な生き物や光の描写に触れることで、物語の世界に入り込み、自分なりの解釈や感想を持つことが育まれます。読み終えた後に「自分がその熊だったらどうする?」や「光が広がった後の世界はどんなふうになったと思う?」といった質問を投げかけることで、子どもの感受性や創造力を伸ばすことが可能です。
さらに、火との出会いを「記憶の始まり」として描く作者の視点は、子どもたちに「記憶」や「経験」について考えさせる良い機会を提供します。親や教師は、この物語を通じて子どもたちと「自分にとって大切な記憶」について話し合い、自己理解や感情表現を深める活動に繋げることができます。絵本の自然や火の描写を活用したアートや工作などのアクティビティもおすすめです。