
【絵本】ゆうなとスティービー
内容説明
ゆうなの家は牛を育てる農家です。ある寒い冬の日、目が見えない子牛が生まれました。スティービーと名付けられたその子牛を、ゆうなが一生懸命お世話することになります。ゆうなが名前を呼ぶと、スティービーは耳を向け、声にじっと耳を傾けてくれます。そんなスティービーとの日々を通して、ゆうなも少しずつ成長していきました。
それから2年半の月日が流れ、スティービーは立派な和牛に成長します。そんなある日、お父さんが「明日スティービーを出荷するよ」と告げます。その言葉にゆうなの心は揺れ動きます。大切に育ててきたスティービーとの別れを前に、ゆうなは何を感じ、どう向き合うのでしょうか。
牛たちはおいしく食べられるために育てられている——そのことを知り、ゆうなは家族が担う役割や、多くの人々の「食」を支えることへの誇りを感じていきます。農業に携わる著者・堀米薫先生だからこそ描ける、力強さと温かさに満ちた物語です。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、命の大切さや家族の絆、食に関わる感謝の気持ちを子どもたちに自然と伝えることができる内容です。主人公のゆうなが、目の見えない子牛スティービーをお世話する中で見せる優しさや責任感は、子どもたちに共感を呼び起こし、他者を思いやる心を育むきっかけとなります。また、スティービーとの別れを通じて「命をいただく」という食の本質に向き合う姿は、子どもたちに食べ物の背景や農家の役割について考える機会を提供します。
特に、子育て世代の親や教育者にとっては、絵本を通じて「食べ物を残さない」「命を大切にする」といった価値観を子どもたちに伝える絶好の教材となるでしょう。読み聞かせの後に「みんなが普段食べているものはどこから来るのか」「農家の人たちはどんな思いで働いているのか」といったテーマで話し合うことで、子どもたちの理解を深めることができます。
また、この絵本は親子の対話を促すツールとしても優れています。例えば、ゆうながスティービーと別れるシーンでは、子どもたちが感じた悲しみや疑問に寄り添いながら、「命を大切にする」という考えを一緒に育むことができます。さらに、保育園や小学校では命や食育の授業の一環として活用することで、子どもたちが命の循環や感謝の心を学び取るきっかけを作ることができます。