
【絵本】のっぺらぼう
内容説明
「まてまて、のっぺらぼうの なかまに おはいり〜」。そんな不気味な声が響く山の中で、ひとりの男の子が不思議な体験をします。男の子が山に薪をとりに出かけるとき、母親はこう言いました。「あかるいうちに ちゃんと帰ってくるのよ。やまが くらくなると、こわいものが出るからね」。しかし、男の子は遊びに夢中になり、気づけば夕暮れ時。周囲はどんどん暗くなり、深い山の中で男の子は慌てて帰り道を探しますが……。
のっぺらぼうのおばけは有名でも、その物語を知っている方は少ないのではないでしょうか。この絵本は、日本に古くから伝わるおばけ話を現代の子どもたちに伝える新シリーズの第一弾です。おばけ話には、ただ怖がらせるだけでなく、人々への教訓や大切なメッセージが込められています。本作でも、男の子の経験を通して読者が何かを学ぶように描かれています。
また、作家・杉山亮さんの軽妙な語り口は、読み聞かせにもぴったり。さらに、軽部武宏さんの力強いイラストが物語に迫力と奥行きを加え、ただ怖いだけではなく、どこか懐かしく温かい雰囲気を感じさせます。安心して夜眠れるような工夫も施されており、恐ろしさとユーモアが絶妙なバランスで描かれた一冊です。ぜひ、この新しいおばけ話を楽しんでみてください。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、日本の伝統的なおばけ話「のっぺらぼう」を題材に、子どもたちが楽しみながら教訓を学べるよう工夫された作品です。まず、物語の中で男の子が母親の忠告を守らずに山で迷うシーンは、「約束を守ること」「注意を怠らないこと」の大切さを伝える良いきっかけとなります。保護者や先生は、この場面を通じて子どもたちに自分の行動がどのような結果を招くのか、考えさせる対話を促すことができます。
また、絵本の中で描かれる「怖いおばけ」という要素は、子どもたちが想像力を働かせ、自分の中で恐怖心を克服する練習にもなります。特に、軽妙な語り口や親しみのあるイラストが恐ろしさを和らげているため、怖がりすぎることなく安心して楽しめます。このバランスは、感情のコントロールを学ぶ教材としても活用できるポイントです。
さらに、日本の昔話や伝統文化に触れるきっかけとしても、この絵本は非常に有意義です。現代の子どもたちに馴染みの薄い「のっぺらぼう」という題材を、楽しくわかりやすく伝えることで、日本の文化や歴史に親しむ入り口となります。読み聞かせを通じて、親子やクラスの絆を深める活動にも活用できるでしょう。