
【絵本】てんぐ
内容説明
昔、和尚さんが悪さをする天狗を退治し、その法力で木に変えてしまいました。天狗を縛っているひもを解けば術は解けてしまうため、ひもをほどかないようにと注意されています。
ある日、お寺でひとり留守番をしていた小僧さんが、近所の子どもたちとこま遊びを始めました。ところが遊んでいる最中に、こまのひもが切れてしまいます。「そうだ!」とひらめいた小僧さんは、なんと天狗の木にかけられたひもをほどいてしまうのです……。
赤い顔に長い鼻というおなじみの姿を持つ天狗。この作品では、そんな天狗のもつ本来の怖さを描き出しています。児童文学作家としても知られる杉山亮氏が、日本各地に伝わる天狗の物語をもとに子ども向けに創作しました。また、加藤休ミ氏の鮮やかな色使いと迫力ある絵が物語に深みを加えています。
「怖かったけれど、最後には安心できる」ストーリー展開が、このシリーズの魅力。親子でハラハラしながら読める、忘れられない一冊です。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、天狗という日本の伝承に登場するキャラクターを題材にした物語で、子どもたちに想像力や文化理解を育む絶好の教材です。特に、天狗を悪役として描くだけでなく、その怖さや存在感を通じて、自然や伝統への畏敬の念を感じさせる点が魅力的です。読んでいるうちに、昔話や伝統文化に親しむきっかけを作ることができるでしょう。
また、物語の中で小僧さんがルールを破ることで起こる問題やその後の展開は、「約束を守ることの大切さ」や「軽率な行動がもたらす影響」を学ぶ場として活用できます。特に幼児や小学生にとっては、物語のドキドキ感を楽しむだけでなく、自分だったらどうするかを考える機会にもつながります。「もし約束を破ったらどうなるのか?」といった話し合いをすることで、自分の行動を振り返る力を育めます。
さらに、天狗の赤い顔や長い鼻、絵本の鮮やかな色彩は、視覚的な興味を引きつけるだけでなく、絵を通じた感情表現の理解を促します。絵を見ながら子どもたちに「どんな気持ちだと思う?」と問いかけることで、感情や表現力を言葉にする練習ができます。親子で読む際には、物語の怖さと安心感のバランスを楽しみながら、絵本が教える教訓について一緒に語り合いましょう。