
【絵本】たつくん おむかえドキドキ
内容説明
今日は、たつくんのたんじょうび。じゅうにし園で開かれた誕生会は、とても楽しい時間になりました。たつくんは、早くそのことをパパやママに話したくてたまりません。お迎えが待ち遠しいたつくんですが、時間になると次々におともだちのお迎えがやってきます。それでも、たつくんととりちゃんだけは、なかなか迎えが来ません。
ついに、とりちゃんは不安と悲しさで泣き出してしまいます。そんなとりちゃんを、たつくんは思わず笑ってしまいますが、やがてとりちゃんのお迎えもやって来て、たつくんはひとりぼっちに。楽しかった誕生会の余韻も、寂しい気持ちにかき消されそうになります。お迎えというのは、保育園や幼稚園に通う子どもたちにとって、とても大きなイベント。誰が迎えに来るのか、早いのか遅いのか、子どもたちはさまざまな気持ちを抱えながら待っています。
この絵本は、たつくんの体験を通して、友だちの立場に立って考える大切さを伝えています。自分とは違う相手の気持ちや行動を理解するのは簡単ではありませんが、それを知ることでお互いの絆が深まります。じゅうにし園の12人の子どもたちの姿は、それぞれに個性豊かで、集団生活の中で起こるさまざまなドラマを映し出しています。
この絵本を読むことで、子どもたちは自分と似た姿や違う姿を見つけ、共感したり新しい視点を得たりすることでしょう。読み終えた後には、明日も楽しく登園したくなるような前向きな気持ちになれるはずです。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、保育園や幼稚園での「お迎え」という日常的な出来事を通じて、子どもたちが抱くさまざまな感情や、他者への思いやりを育むきっかけを提供します。特に、たつくんがとりちゃんの気持ちに触れ、それを理解していく過程は、幼い子どもたちにとっても共感しやすい場面です。これを教材として活用する際には、読み聞かせ後に「もし自分がたつくんだったらどうする?」「とりちゃんはどんな気持ちだったと思う?」といった問いかけを通じて、子どもたち一人ひとりが自分の意見を表現しやすい場を作るのが効果的です。
また、絵本には十二支にちなんだキャラクターが登場するため、子どもたちがそれぞれの個性を知り、違いを楽しむこともできます。集団生活では、自分と異なる考え方や感じ方を持つ友だちと出会うことが多く、こうしたキャラクターの多様性を利用して「みんな違っていい」という価値観を自然に学べます。保護者や先生は、子どもたちが「違うから面白い」「違うから助け合える」といった気づきを得られるよう、会話や活動を通じてサポートしましょう。
さらに、お迎えが遅れる場面に焦点を当てることで、子どもたちが寂しさや不安を感じたときにどう対処すればよいかを話し合う機会にもなります。大人が子どもの感情を受け止め、「誰もが同じ気持ちを経験する」という共感を示すことで、子どもたちは安心感を持つことができます。この絵本は、日常の小さな出来事から感情を学び、自信を育むための素晴らしいツールとなるでしょう。