
【絵本】わたしは しなない おんなのこ
内容説明
女の子は「死にたくない」という思いを歌に乗せました。その歌はネズミや猫、ノミ、ウナギといった生き物たちによって歌い継がれ、命を持つかのように生き続けていきます。この絵本は、アンネ・フランクの言葉からインスピレーションを得て描かれた、著者初の作品です。
著者が子どもの頃、死んでしまい忘れ去られることへの恐怖を抱いていたとき、偶然『アンネの日記』に出会いました。その中で「わたしの望みは、死んでもなお生き続けること!」というアンネの熱い言葉を目にし、深く心を動かされたそうです。アンネは日記を書くことでその願いを叶え、今も多くの人々に読み継がれています。この経験から、著者も作家になる夢を抱きました。
時が流れ、著者は大人となり、子どもを持つ親になりました。努力して書き続ける中で気づいたのは、歴史に残らず消えてしまった多くの人々の人生や時間の存在です。そこには、アンネのように書き残した人、書けなかった人、そして書かなかった人が確かにいました。けれど、それらの人生が無意味だったとは思えないのです。
人は誰もがやがて死を迎え、忘れ去られていくでしょう。それでも、いつの日か誰かが私たちの声や歌を見つけてくれる。そんな希望を胸に、著者は遠くから聞こえる誰かの声や歌に耳を傾け、今を見つめたいと語ります。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、命の大切さや人々の記憶がどのように受け継がれるかを考えるきっかけを与えてくれる作品です。子育て世代の親や教育現場で活用する際には、まず「命の循環」や「思いを伝えること」の重要性について子どもたちと話し合う機会を設けると良いでしょう。例えば、歌が動物たちによって受け継がれるという物語の流れを通じて、「言葉や思いは形を変えて残っていく」というテーマを子どもたちに優しく伝えることができます。
また、アンネ・フランクの言葉がインスピレーション源となっている点も、子どもたちに歴史や過去の人々が残したメッセージを学ぶ入り口として活用できます。この絵本を読む際には、子どもたちに「どのような思いを未来に伝えたいか」と考えさせるアクティビティを取り入れると良いでしょう。例えば、自分の大切な思いや夢を絵や文章で表現するワークショップを行えば、創造性を育む教材としても役立ちます。
さらに、絵本を読む過程で「忘れられることへの不安」について子どもたちと共有し、「誰もが大切な存在であり、その存在は他の人々に影響を与えている」というメッセージを伝えることができます。特に幼い子どもたちには、家族や友人とのつながりを通じて、自分の存在意義を感じさせるような言葉がけを心掛けると良いでしょう。この絵本は、命の尊さや希望を感じさせる貴重な教材として、親や先生が子どもたちと深い対話をするための素晴らしい手助けとなります。