絵本の読み聞かせで期待できる効果は、言葉の力・想像力・気持ちの安定と共感力・親子の信頼関係の4つです。ただし、読むだけで自動的に伸びるわけではなく、効果を左右するのは「どれだけ読んだか」より「どう関わったか」です。
この記事では、4つの効果の中身、年齢による違い、研究でわかっていること、そして期待しすぎないための注意点を解説します。習慣にする方法や絵本の選び方は、別の記事で詳しく紹介しているので、後半でご案内します。
絵本の読み聞かせで育つ4つの力
| 育つ力 | どう育つか |
|---|---|
| 言葉の力 | 日常会話では出てこない言葉やリズムに触れる |
| 想像力 | 絵と音から、場面や登場人物の気持ちを思い描く |
| 情緒の安定・共感力 | 登場人物に感情移入し、自分の気持ちにも気づく |
| 親子の信頼関係 | 安心できる距離で、同じ物語を共有する |
言葉の力:日常会話にない言葉に出会える
絵本には、普段の会話にあまり出てこない言葉や、独特のリズム、繰り返しが多く含まれます。耳で聞いて覚えた言葉が、のちに話す・読む・書く力の土台になると考えられています。
たとえば、「ぴかぴか」「そろそろ」のような擬音語・擬態語も、絵とセットで覚えやすい表現です。絵と言葉が結びつくことで、意味を理解しやすくなるのが絵本の強みです。
想像力:見えないものを思い描く練習
読み聞かせでは、耳から入る言葉と絵をつなげて、頭の中で場面を作ります。これは、目の前にないものをイメージする練習になります。
動画のように映像がすべて見えるわけではなく、絵と絵の「間」を自分で想像する余白があるところが、絵本ならではの特徴です。
情緒の安定と共感力:気持ちに名前をつける
登場人物が泣いたり喜んだりする場面を通して、子どもは「こんなとき、悲しくなるんだ」と気持ちの種類を知っていきます。自分の気持ちを言葉にする手がかりにもなります。
また、膝の上や隣で読んでもらう時間は、それだけで安心感を得られます。眠る前の読み聞かせが落ち着く理由の一つです。
親子の信頼関係:同じ物語を共有する時間
読み聞かせは、親の声と体温を感じながら過ごせる、日々の小さな安心の時間です。「この絵本、好きだったね」と思い出を共有できるのも、あとから効いてくる効果です。
うまく読めているかを気にしすぎる必要はありません。親が楽しんで読んでいることのほうが、子どもには強く伝わります。
年齢別:読み聞かせの効果はどう変わる?
子どもの発達に合わせて、受け取る力は変わります。年齢ごとの目安をまとめました。
| 年齢 | 主に育つもの | 関わり方のポイント |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | 声を聞く安心感、言葉の響きへの親しみ | 内容より、声のリズムと触れ合いを重視する |
| 2〜3歳 | 言葉の習得、物の名前、繰り返しの楽しさ | 指さしに応え、同じ絵本を何度も読む |
| 4〜5歳 | 想像力、物語の理解、感情の理解 | 「どう思った?」「次はどうなる?」と問いかける |
| 6〜7歳 | 読む力への橋渡し、語彙の広がり | 親子で交代して読む、字を追う楽しみを作る |
ここでの年齢はあくまで目安です。同じ絵本を何度も読みたがる時期は、理解が深まっているサインなので、無理に新しい本へ切り替えなくて構いません。
研究でわかっていること・わかっていないこと
読み聞かせの頻度が高い家庭の子は、語彙が豊かな傾向があるという研究は、国内外にいくつもあります。ただし、「読み聞かせをしたから語彙が増えた」と断定できるわけではありません。
理由は、読み聞かせをよくする家庭は、そもそも会話や本に触れる機会が多い傾向があるためです。効果が読み聞かせだけによるものか、家庭全体の環境によるものかは、切り分けが難しいのが実情です。
一方で、「読み方」で効果に差が出るという報告もあります。親が一方的に読むだけでなく、子どもに問いかけて会話しながら読む方法(対話的読み聞かせ)は、言葉の力を伸ばしやすいとされています。
したがって、「学力が上がる」と期待して読むより、「言葉と気持ちの土台を育てる時間」と捉えるのが現実的です。
効果を引き出す読み方:キャッチボールにする
対話的読み聞かせは、キャッチボールにたとえるとわかりやすい方法です。親が一方的にボールを投げ続けるのではなく、子どもからも返ってくる流れを作ります。
- 問いかける:「これは何かな?」「どうしてだと思う?」
- 受け止める:答えが違っていても、「そう思ったんだね」と返す
- 広げる:「そうだね、赤くて大きいね」と少し言い足す
ただし、毎ページ質問すると、物語に集中できなくなります。1冊につき2〜3か所に絞ると、自然なやりとりになります。
読み聞かせで期待しすぎないための注意点
- 嫌がる日は無理に読まない:義務になると、絵本そのものを嫌いになる恐れがあります
- 動画や音声の読み聞かせだけに頼らない:便利ですが、親子のやりとりが減りやすいため、あくまで補助として使いましょう
- 費用は図書館で抑えられる:絵本は1冊1,000円前後が目安ですが、図書館なら無料で借りられます
また、「毎日必ず」にこだわらなくて大丈夫です。忙しい日は1冊だけ、短い絵本だけでも十分に意味があります。
続け方・絵本選びは、別の記事で解説しています
読み聞かせを「毎日の習慣」にするコツは、時間帯を固定することと、子どもの好きな本から始めることです。具体的な工夫は次の記事にまとめています。
どんな絵本を選べばよいか迷う場合は、年齢別のおすすめをまとめた次の記事をご覧ください。
「本好きな子になってほしい」という方は、家庭での環境づくりも参考になります。
よくある質問
何歳まで読み聞かせを続けるべきですか?
決まった年齢はありません。小学生になっても、子どもが望むなら続けて問題ありません。自分で読めるようになっても、親が読む物語は、少し難しい本に出会える機会になります。
同じ絵本ばかり求められます。大丈夫ですか?
大丈夫です。繰り返しは、理解が深まり、安心できている証拠です。親が飽きたら、読み方を変えたり、新しい本を1冊だけ足したりしてみましょう。
子どもがじっと聞いてくれません。効果はありますか?
歩き回りながらでも、耳には入っています。集中が続かない年齢では、短い絵本を1冊だけ読めば十分です。座らせることにこだわらず、聞いている様子があれば続けましょう。
まとめ:効果を気にしすぎず、まずは今日1冊
絵本の読み聞かせは、言葉の力・想像力・情緒の安定・親子の信頼関係を育てる時間です。ただし、効果は「読んだ量」ではなく「どう関わったか」で変わります。
研究では関連が示されていますが、因果までは断定できません。学力のためと気負わず、親子で楽しむ時間と捉えることが、長く続けるコツです。
まずは今日、お子さんが好きな絵本を1冊、問いかけを1つ入れて読んでみてください。続け方に迷ったら、習慣化の記事に進んでみましょう。


