
【絵本】やましたくんはしゃべらない
内容説明
山下君は、学校で一度も言葉を発したことがありません。そんな彼が、ある日作文を発表することになります。しかし、彼が選んだ方法は、自分の声をラジカセに録音し、それを再生して発表するというちょっと変わったものでした。そんな不思議な山下君に、周りの子どもたちは興味を持ち始めます。この物語は、ちょっと変わっていて、でもどこか気になる男の子のお話です。
この絵本は、山下賢二さんの自伝的エッセイ『ガケ書房の頃』(夏葉社)の中の一つのエピソードをもとに作られました。実際に「しゃべらない子ども」だったという山下さんが、『ガケ書房の頃』で初めて人前で話したときの出来事を特別に公開しています。
静かに自分のやり方で世界と向き合った山下君の姿に込められた思いを想像しながら、ぜひ絵本を手に取ってみてください。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、個性や自己表現の多様性を学ぶための優れた教材として活用できます。山下君が自分の声をラジカセで再生して作文を発表するシーンは、周囲と異なる方法で自己表現することの大切さを示しており、子どもたちに「みんな違っていい」というメッセージを伝えることができます。特に、内気だったり、自分の考えを言葉で伝えることが苦手だったりする子どもたちにとっては、共感しやすく、自分を肯定するきっかけになるでしょう。
また、ラジカセでの発表というユニークな方法は、問題解決力や創造性についても考える良い機会を提供します。「どうすれば自分の思いを伝えられるか」といった問いかけを通じて、子どもたちと一緒に考えたり話し合ったりする時間を設けることができます。こうした活動は、自己表現力やコミュニケーション能力を育む場としても有効です。
さらに、この絵本は、他者の視点に立って考える力を養う教材としても役立ちます。山下君に興味を持ち始めたクラスメートたちの反応を通じて、「相手の気持ちを理解すること」や「違う視点を受け入れること」の大切さを学ぶことができます。読み聞かせの際には、子どもたちに「自分が山下君だったらどう感じるか」「クラスメートならどう接するか」と問いかけてみると、より深い学びが得られるでしょう。
この絵本は、自己肯定感を育みながら、他者理解や創造的な問題解決の力を養うきっかけとなる一冊です。ぜひ親子の時間や授業の中で取り入れてみてください。