
【絵本】こっちをみてる。
内容説明
雲や木、机の傷、窓の外に見える家――どこを見ても顔がある。でも、それに気づいているのはぼくだけだった。
最初は誰も気づかないその顔たちが、やがてぼくだけをじっと見つめるようになる。学校でも、家でも、公園でも、どこにいても、顔はぼくを追い続ける。
となりそうしち(怪談えほんコンテスト大賞受賞作)が紡ぐ物語と、伊藤潤二の描く繊細かつ不気味な世界が、逃げ場のない恐怖を鮮やかに描き出す。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、日常の中に潜む「顔」をテーマにした不思議で少し怖い物語です。日常の風景が突然違った視点で見えるようになることで、子どもたちに「観察力」や「想像力」を養うきっかけを与えることができます。雲や木、机など身近なものが題材となっているため、読み終えた後に親子やクラスで「どんな顔が見つかるかな?」と探してみる遊びへと発展させるのもおすすめです。
さらに、この作品は恐怖を描いている一方で、子どもたちに「自分だけが気づくこと」や「他者との違い」を感じ取る機会をもたらします。主人公がひたすら顔に見つめられる状況は、孤独感や不安感を抱える子どもの心情にもリンクします。読み聞かせの後、「怖いと感じた時はどうする?」や「ひとりで不安なとき、誰に話す?」といったテーマで話し合いをすると、子どもたちの自己表現力や感情理解を深めることが可能です。
また、物語の世界を鮮やかに表現する伊藤潤二の絵は、繊細で迫力があり、視覚的な刺激にも優れています。そのため、絵をじっくり見ながら「この顔、どんな気持ちだと思う?」と問いかけることで、感情の読み取りや表情の観察力を育むこともできます。子どもたちと一緒に新しい視点を楽しむ教材として、幅広い年齢層に活用できる一冊です。