
【絵本】うぶめ
内容説明
弟か妹が生まれる日を、心待ちにしていた子ども。しかし、その日を迎えることはなかった。弟も妹も生まれず、さらに大好きなお母さんまでもがいなくなってしまう――。
京極夏彦と井上洋介が手を組み、母親が抱える深い悲しみが「妖怪」として姿を現すという独特の世界を描き出した物語。悲しみと妖怪が織りなす不思議な絵本が、胸に迫る感動を呼び起こします。
知育や教材で活用する際のポイント
この絵本は、生命の誕生と喪失という深いテーマを題材にしており、子ども自身が「悲しみ」に向き合うきっかけを与える教材として活用できます。特に、弟や妹が生まれる予定だった子どもが、その期待と失望をどう受け止めるのかという視点は、子どもたちに感情の起伏や喪失感の理解を促す大切な学びとなります。家族の一員が増える喜びと、予期せぬ喪失を通じて、命の大切さや心のケアについて考える機会が生まれるでしょう。
また、この絵本では、母親の悲しみが「妖怪」という形で表現されているため、子どもたちだけでなく、読み聞かせをする大人自身も心の痛みに向き合う重要性を感じることができます。子どもと一緒に「妖怪」という象徴を通じて感情を言語化することで、親子や教師と子どもの間で自然な対話が生まれるでしょう。特に、感情をうまく言葉にできない小さな子どもたちにとっては、感情を比喩化したこの物語が理解を助けるツールになります。
さらに、子どもたちが絵本を通じて親や先生と感情を共有することにより、自分の感情に寄り添ってもらえる安心感を得られる点も重要です。保育園や幼稚園、小学校の授業や読み聞かせの時間を通じて、家族の大切さや悲しみを乗り越える力を学ぶためのきっかけとして、この絵本は非常に有意義な教材となるでしょう。