子どもの話を聞くときは、「アドバイスや質問」より先に、「受け止める」ことを優先すると、話してくれるようになります。子どもが求めているのは、多くの場合、正しい答えよりも「ちゃんと聞いてもらえた」という実感だからです。
この記事では、子どもが「聴いてもらえた」と感じる5つの聞き方のコツ、場面別の言い換え例、忙しいときの対処法、聞いたあとの注意点を解説します。
「聴いてもらえた」と感じる3つの条件
子どもが安心して話せるのは、次の3つがそろっているときです。
| 条件 | 子どもの気持ち | 親の行動 |
|---|---|---|
| 注意を向けてくれる | 「ちゃんと見てくれている」 | 手を止めて、目を見る |
| 気持ちを受け止めてくれる | 「分かってくれた」 | 否定やアドバイスを後回しにする |
| 最後まで聞いてくれる | 「話してよかった」 | 途中で話題を変えない |
相手の話を丁寧に受け止めて聞く姿勢は、カウンセリングなどでも「傾聴(けいちょう)」と呼ばれています。会話は、キャッチボールに似ています。相手のボールを受け止める前に投げ返してしまうと、ボールは落ちてしまいます。
子どもの話を聞く5つのコツ
1. 手を止めて、目を見る(5分だけでもOK)
家事をしながら相づちを打つだけでは、子どもは「聞いていない」と感じやすくなります。数分でも、手を止めて目を見て聞くほうが、伝わりやすくなります。
ずっと続ける必要はありません。「ここぞ」という場面だけで十分です。
2. 否定やアドバイスは、あとに回す
子どもの話を聞くと、つい「それはダメでしょ」「こうすればいいじゃない」と言いたくなります。でも、話の途中のアドバイスは、「話を聞いてもらえなかった」という気持ちにつながることがあります。
まずは最後まで聞いて、アドバイスは「聞かれたとき」や「落ち着いてから」にしましょう。
3. 気持ちを言葉にして返す
子どもが話した内容や気持ちを、そのまま短く返す方法です。たとえば、次のように返します。
- 子ども:「友達とけんかした」→ 親:「けんかしちゃったんだね」
- 子ども:「テストが悪かった」→ 親:「悔しかったね」
これだけで、子どもは「分かってもらえた」と感じ、話を続けやすくなります。気持ちが分からないときは、「どんな気持ちだった?」と聞いてみましょう。
4. 「それで?」と続きを促し、沈黙を待つ
子どもは、話すのに時間がかかることがあります。数秒の沈黙は、考えている時間です。急かさず、「それで?」「そのあとどうなったの?」と促してみましょう。
5. 最後に「話してくれてありがとう」と伝える
話を聞き終えたら、「話してくれて嬉しいよ」と一言添えます。「話すといいことがある」と感じると、次も話しやすくなります。
場面別|やりがちな返し方と、言い換え例
| 場面 | やりがちな返し | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 友達とけんかした | 「あなたも悪かったんじゃないの?」 | 「それは嫌だったね。どんなことがあったの?」 |
| 「別に」と言う | 「何もないわけないでしょ」 | 「話したくなったら、いつでも聞くよ」 |
| 失敗して落ち込んでいる | 「だから言ったでしょ」 | 「がっかりしたね。どうしたい?」 |
| 学校に行きたくないと言う | 「行きなさい」 | 「何か嫌なことがあった?ゆっくり教えてね」 |
ポイントは、まず気持ちを受け止めてから、「どうしたい?」と本人に考えてもらうことです。答えを教えるのではなく、考える機会を渡すことになります。
年齢別|聞き方のポイント
| 年齢 | ポイント |
|---|---|
| 幼児 | 目線の高さを合わせる。うまく言えなくても、言葉を補いながら聞く |
| 小学校低学年 | 話の順番が前後しても、途中で直さずに最後まで聞く |
| 小学校高学年 | 正面で向き合うより、並んで座る・一緒に歩くなど、横並びのほうが話しやすいことも |
忙しいときの「聞けない」は、こう伝える
手が離せないときや、余裕がないときは、無理に聞こうとしなくて大丈夫です。大切なのは、「聞けない」ときの伝え方です。
- 「今は手が離せないから、5分後に聞かせてね」と、具体的な時間を伝える
- 約束した時間になったら、必ず戻って聞く
- 夜の寝る前など、毎日決まった時間を作っておく
「あとでね」と言ったまま忘れてしまうと、子どもは「話しても聞いてもらえない」と感じてしまいます。約束を守ることが、信頼につながります。
会話の時間を増やす具体的な工夫は、こちらの記事で紹介しています。
感情的になってしまったときは
つい声を荒げてしまうことは、誰にでもあります。大切なのは、そのあとのやり直しです。
- 一度深呼吸をして、その場を離れて落ち着く
- 落ち着いたら、「さっきは大きな声を出してごめんね。もう一回聞かせて」と伝える
- 子どもが感情的なときは、まず落ち着くのを待ってから話を聞く
親が謝る姿を見せることも、子どもにとって大切なお手本になります。
聞いたあとに気をつけたいこと
子どもの話を聞くと、見過ごせない内容が出てくることもあります。
- いじめ・暴力・体の不調など、安全に関わる話は、「話してくれてありがとう」と伝えたうえで、担任の先生や学校、必要に応じて専門の窓口に相談する
- 「ひみつにして」と言われたときは、「あなたを守るために、必要なときは大人に相談するね」と正直に伝える
- 聞いた話を、きょうだいや他の人の前で話さない
質問の仕方を深めたいときは
「聞く」ことに慣れてきたら、子どもが答えやすい質問を取り入れてみましょう。「学校どうだった?」より、「今日の給食は何だった?」のほうが答えやすくなります。質問術や会話のコツは、次の記事で解説しています。
考える力を育てる問いかけの例は、こちらの記事が参考になります。
よくある質問
学校のことを、ぜんぜん話してくれません。
学校のことを聞くより、先に家庭が「話しても安心な場所」になっているかを見てみましょう。話さない時期があっても、焦らず「聞くよ」という姿勢を続けることが大切です。
反抗期で、会話になりません。
反抗期は、自立しようとする大切な時期です。無理に話させず、天気や食べ物など、軽い話題から始めてみてください。「困ったら言ってね」と伝えておくだけでも、安心につながります。
話を聞くと、愚痴や不満ばかりで疲れます。
愚痴を聞くのは、親にとっても負担です。毎回「全部受け止めなきゃ」と思わなくて大丈夫です。「聞いたよ。ちょっと疲れたから、また明日聞かせてね」と、区切ってもかまいません。
まとめ|まずは「アドバイスを一度飲み込む」ことから
子どもが話してくれるようになるには、聞き方を少し変えることが近道です。
- 手を止めて、目を見て聞く
- 否定やアドバイスは、あとに回す
- 気持ちを言葉にして返し、最後に「ありがとう」と伝える
まずは今日、お子さんの話を聞いたときに、アドバイスを一度だけ飲み込んでみてください。「そうだったんだね」の一言が、話しやすい家庭への第一歩です。


